◎ 資産の取得価額になるもの



資産の取得に際し、経費にならず 取得価額を構成するものは?



◆ 資産の取得価額になるもの <法律の規定>












購 入 対 価 の 額





  引取運賃   荷役費   運送保険料
 ○ 購入手数料   関税 
  その他購入のために要した費用
 
消費・販売の用に供するために直接要した費用の額












購 入 対 価 の 額





  引取運賃   荷役費   運送保険料
 ○ 購入手数料   関税 
  その他購入のために要した費用
 
事業の用に供するために直接要した費用の額
(据付費・試運転費等)

  • 取得に関し争いのある資産につき所有権等を確保するために直接要した訴訟費用等の
     額は、必要経費に算入されたものを除き、その資産の取得費とされます(所基通38−2)



    ◆ 具体例による < 固定資産の取得価額 >


    具 体

    < 例 >
    甲は、売買により下記の賃貸用不動産を取得し、この取得前後で甲が
    支出した金銭は下記の通りですが、この不動産の取得価額になるものは?

      (T)甲が法人の場合に取得価額になるものは?
      (U)甲が個人(以前から業務を営んでおり、業務用)の場合は?
      (V)甲が個人(業務を営んでいない、非業務用)の場合は?


    下 記 で
    ○⇒取得価額になる  △⇒任意  ×⇒取得価額にならない


    (V)個人
    (非業務)
    (U)個人
    (業務用)
    支払った金銭の内容(T)法人
    の場合




    (1)購入代金(土地・建物)
       土地代金
       建物代金


    (2)仲介手数料
    (3)その不動産に居住していた
       者への立退料
    ×


    (4)購入契約書に貼付した印紙代


    ×(5)所有権移転登記<税金>
       (登録免許税)
    ×(6)所有権移転登記<手数料>
       (司法書士報酬)
    ×(7)不動産取得税
    ×(8)借入金で購入した場合の
       抵当権設定登記費用
    新規に業務
    開始
    (9)借入金に対する支払利息(※)
       (借入〜業務開始まで)
    新規に業務
    開始
    任意(10)借入金に対する支払利息
       (借入〜使用開始まで)
    ×
    (家事費)
    ×
    (経費)
    (11)借入金に対する支払利息
       (使用開始以降〜) (※2)
    ×
    (経費)
    ×
    (経費)
    (12)賃貸用建物の建替えによる
        建物取壊し費用 (※3)
    ×
    (経費)

    (※)以前、業務をしておらず、初めて不動産賃貸業を開始の場合
    (注)上記(非業務)には、使用貸借による貸付を含みます。

    ◎ 尚、相続・贈与によって資産を取得した場合は、業務の用に供するための資産の
    取得ではなく、また、当該資産の登記費用や登録免許税は、業務について生じた費用
    ではないので、必要経費にはなりません。(→ H17.1.1以後支出分から改正あり



    (※2) 一度使用を開始し、その後 使用しない期間があったとしても、その期間の
    借入金利子は取得費に含めることができない (所基通38-8の3)


    《 取得価額に算入すべき費用 》
    (※3)土地とともに建物を取得し、おおむね1年以内に建物を取壊す等、当初から
    土地を利用することが明らかな場合
    →<建物の帳簿価額と取壊し費用の合計額>
    土地の取得価額に加算する。 (所基通38−1)

    【消費税】
     建物の取得に係る消費税は、事業者が事業として譲り受けた場合は課税仕入OK


  • 建物を建築するに際しての起工式、上棟式等の祭事費用は建物の取得価額となる。
       (その年の費用にならない)


  • ◆ 不動産を売買する時 − 仲介業者に支払う仲介手数料

    <仲介手数料> の税務上の取扱い−
    買う側売る側
     土地 ・建物の
    取得価額
     土地 ・建物の
    譲渡費用



    建物建替えに伴って発生する費用等の処理について 他 (→)

    損害賠償金等を取得した場合の課税関係は? (まとめ →)



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    固定資産の取得に際しては、色々な支払いが発生しますが、個人経営の場合と法人経営の場合とでは、
    取得価額になる、ならないの考え方が異なりますので、処理にあたっては事前に当事務所にご相談下さい。




    mail: hy1950@manekineko.ne.jp
    tel: 06-6681-2144  税理士 服部行男
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